ニューヨーク1ヶ月

今日は2/4で、ちょうど到着してから1ヶ月たちました。
備忘録的にやったことを記録しますが、それぞれ見たものについては、項目別にあらためて記事をまとめるつもりです(たとえば、コロンビア大学のコンピュータ・ミュージック・センター、ニューヨーク大学のInteractive Telecommunications Program、刀根康尚回顧展で展示されていた楽器など..)。
ただこのブログはかなり日記なので、どこかで記事を掲載させてくれるところがないかな、と少し考えています。

さて到着して1ヶ月たちましたが、1月は、主にこの街に自分の居場所をつくるために動いていた感じで、2月はもうちょっと予定通りにケージやチュードアのアーカイブなど見て回らないとな、MoMAも、自然史博物館もいかないといけません。

今は、ダウンタウンのNPOメディアセンター、Harvestworksにとてもお世話になっていて、2/1から、Scholarship Artistとして机ひとつぶん、間借りさせてもらって作業しています。もともと、こちらに来る前に、彼らのNew Works Residencyの公募に応募していたのですが、内容的に私が通るようなものでなかったところを、Scholarship Artistとして作業できるようにしてくれたもので、宿で集中するのはやはり大変なので、とてもありがたいです。

いまの宿はちょっと不便な場所にあるのですが、Harvestworksはダウンタウンの真ん中に位置していてとても便利なので、ここを拠点に少し生活を組み立てなおそうかなと思い始めたところです。そもそもHarvestworksは、1978年から現役でメディアセンターをやってるようなところで、歴史的遺物がけっこうありそれも面白いです。

こちらに間借りを始める前、1月前半は英語の勉強をしなくちゃ..と思いながらなかなか集中できなくて、後半からあきらめて、この人に連絡するとよい、と言われた人たちに片っ端から連絡して会っていく、という毎日をすごしていました。
東京のミュージシャンつながりで、1月後半は地元の音楽家たちと会ってコーヒーを飲み、東京のだれそれの噂、どんな音楽が、人が面白いかという話などなど。そして彼らの次のライブの予定をきいて見に行く、ということを繰り返していました(会ったのは、木村まりさん、Viv Corringam, Julia Santoli, Jess Tang, Brandon Lopez, Sean Meahan, Phill NiblockとパートナーのKatherine, Seth Cluett, Barbara Held, 敬称略)

なかでも、1/23に会いに行った、御年90歳のPhill Niblock(とExperimental Intermedia)がちょっと衝撃というか、ニューヨーク実験音楽村の村長さんに会いに行った、という気分でした。共通の知り合いが多いことも幸いして、旅の最初のほうで彼にあえてよかったです。
あとはミュージシャンではないですが、三野新さん(去年のグランティ)、文化庁の新進芸術派遣できていた遠藤麻衣さん、山本悠君にこちらで会えたのもよかった。1年滞在していた彼らは地に足がついた感じで参考になりました。

さて、なんの予定もたてずにニューヨークに来ましたが、幸いにも、こちらにきてからPhill Niblockの企画を含め、2つほどライブの予定が入り、3/17にSHIFT, 441 Kentで、5月上旬にISSUE project roomで演奏します。あと6月にもなにかあるかも。あとは、直接会えるチャンスが有るうちに、今しか会えない人たちと少し録音するつもりです。アウトプットはそのくらいでしょうか。

ライブや展示は、まだそんなにいろいろみれていないのだけど、知り合った人のライブは全部見たいなとおもっていて見に行っています。いままでに以下のようなライブを見ました。

1/19 Derek Bailey Tribute at Roulette, 1/26 2023 season open, at ISSUE Project room, 1/28 Michael Evans Tribute at Roulette, 2/1 Shift 50: Dominic Coles, Ian Douglas-Moore, Eric Wong / Seth Cluett

展示は
Artists Space 刀根康尚, EVERY KIND OF WIND, CALDER AND THE 21ST CENTURY. nahmad contemporary, Frames and variations , Samson Young, Vivian Caccuri and Miles Greenberg: The Shadow of Spring

場所は
printed matter, Housing Works Bookstore, コロンビア大学コンピューターミュージックセンター、NYC ITP

ライブはいくつか見て、アメリカ実験音楽、ドローンを鳴らす演者が多い?、という印象でしたが(伝統?)、28日のMichael Evans Tributeが、Michael Evansの作品も見られたし、珍妙な創作楽器が見られてとてもよかった。このあたりのアメリカで手作り楽器で実験音楽をしている人たちは見たものは全部記録していきたいとはおもっています。フランク・パールにも会いに行くつもり、チュードアのアーカイブもみに行きます。

箱については、SHIFTが規模感(アメリカだから10倍くらい大きいのですが)や雰囲気がFtarriに似ています(アナログも売っている)。
実験音楽界では有名なISSUE project roomが、いま改装中で教会に間借りしていたのはちょっとびっくり、即興の演奏をよくやるRouletteは最初でかい..とおもってびっくりしたけど、アメリカはなんでも10倍くらい日本より大きいので、感覚的にはアップリンク・ファクトリーくらいの規模感かもしれません。内容的には新宿ピットイン? そして、どんなに実験的でも、だいたいのイベントで結構客がはいっているのでそれも少し驚きでした。まだいけてないお店も多いのでいったらまた感想かきます。

こういったオルタナティブなスペースは、基本的には東京と同じように個人が身銭をきるか、何人かのboard leaderで運営していて、東京と違うところはNPOとして寄附をあつめながら運営、という感じが多いのかなと思いました。ハッカースペースもいくつかあるのですが、そういった、場所をDIYで作っていくことは(そして続けていくことも)かなり興味があるので、積極的にどうなってるのか聞いてみようと思っています。あとはなんでお客さんがきてるか知りたいなあ。実験音楽の歴史が長いからかな..

あとは、日本だとサブカルチャーって若い人のもの、ということが多い気がするのですが、アメリカの場合はとても層が厚くて、けっこうな年寄りがアンダーグラウンドなノイズや現代音楽の話をしてくる、という印象。Harvestworksに行った時も、私が応募したレジデンスはキャリアがある人でないと取れない、と言われて、日本だったら逆に年齢制限があり、若い人をとりたがるのに..と意外に思いました(ちなみに若くみられますが、かなり私は年齢いってるし、20年作品つくってます、と伝えました)。若い人も年寄りも、同じ土俵で勝負している感じがよいし、演奏についてもベテランと若い人が混在しているのがよかったです。

展示については、刀根康尚とSamson Yang、Every Kind of windも、New MuseumのThe shadow of springもそうなのですが、全体的に音がとても重要な要素になっている展示が多かった気がします(そういうものを中心にみていたのかもですが)。もうちょっといろいろ見たいのですが、2月はけっこう寒くて、海岸沿いのチェルシーは死にそうになるので気をつけないといけない。

そのほか、1/16と23にコロンビア大学のJace Clayton(DJ/rupture)のゼミに2回ほど顔をだしたのですが、indexicalや white noiseをテーマに現象学的なアプローチで音について考えていくという内容でかなり面白かった(英語力のなさを痛感)。Jaceさんの研究室は、RCA MarkIIが壊れたまま放置されている部屋をあてがわれていて、それも面白かった。写真は大量にとってきたので、なんらかの形でこちらもアーカイブにまとめたいと思っています。

もともと海外滞在ではツアーをしたり、滞在制作をすることが多かったので、ACCのプログラムのように、インプットだけ、というのはやっぱり不安。それで、いろいろ発表を入れようとしちゃうのですが、ここはちょっとぐっと我慢していろいろ勉強する時間にしたほうが、価値観を更新できるいい機会になるだろうな、いいきかせているところです。この歳になるとそんな機会もなかなかないですし。
でも、オープンスタジオ的な規模感でいいのですが、ちょっとどこかで小さな展示をしたいなあ、というのも本音かも(見せる機会がないと、いくら知り合いになっても自分が何者かわかってもらえないので。とはいえあまり大きな会場でも作品がないし、机一つ分くらいの展示ができるといいですよね)。